朝起きたときや会話中にふと気になる「口臭」。その中でも、歯周病が原因となる口臭は、本人が気づきにくく、知らず知らずのうちに周囲に不快感を与えてしまうこともあります。歯周病は歯ぐきの炎症や膿、歯周ポケットの汚れが口臭の原因となるため、そのニオイには独特の特徴があります。また、日常の中で自分でチェックできる方法や、歯医者での専門的な対策もあります。今回は、歯周病による口臭の特徴と、セルフチェックの方法、歯科での治療内容について整理して解説します。
1. 歯周病が原因の口臭の特徴
歯周病による口臭には、他の原因と異なる「腐ったようなニオイ」「血なまぐさいニオイ」といった特徴があります。これは、歯ぐきの中で細菌が繁殖し、膿や血液、たんぱく質を分解することで発生するガスによるものです。
歯周病による口臭の主な特徴は、次のようなものが挙げられます。
①腐敗臭や膿のようなニオイ
歯周ポケットの中にたまった汚れや細菌がたんぱく質を分解することで、腐った卵のようなニオイや、膿のような不快なニオイが発生することがあります。これは揮発性硫黄化合物(VSC)というガスが原因です。
②血なまぐさいニオイ
炎症が進行すると歯ぐきから出血が見られるようになります。血液が混じることで、鉄のような独特な金属臭が加わる場合があります。
③口の中が粘つきやすくなる
唾液の分泌が減ったり、歯周病によって口腔内環境が悪化すると、ネバつきが出やすくなり、結果的に口臭も強くなります。また、舌が乾いたような感覚も伴うことがあります。
④歯周病を治療しないと口臭が慢性的に続く
一時的な食べ物や胃の不調によるニオイとは異なり、歯周病が原因の場合は、常に同じようなニオイが継続する傾向が見られます。
口臭は自分では気づきにくく、周囲から指摘を受けて初めて気づく方も少なくありません。そのため、「もしかして歯周病かも」と感じたら、早めに対処することが大切です。
2. 自分でできる口臭のセルフチェック
口臭の原因が歯周病かどうかを自宅で確認する方法はいくつかあります。これらのセルフチェックを通じて、日常的にお口の状態を観察することが予防にもつながります。
①フロスや歯間ブラシを使ってニオイを確認する
歯と歯の間にフロスを通した後、そのフロスのニオイを嗅いでみることで、歯周ポケットの状態を知る手がかりになります。強いニオイがある場合は、歯周病の可能性があります。
②舌の表面をチェックする
舌に白い苔のような汚れ(舌苔)が付着している場合、口臭が発生しやすい状態といえます。舌苔は細菌や食べ物のカス、粘膜が剥がれ落ちたもので形成されていて、舌の汚れが多いときは、歯周病などの口腔トラブルが隠れている可能性もあるため注意が必要です。
③歯ぐきの腫れや出血を確認する
歯磨きの際に歯ぐきから出血する、腫れや赤みがあるといった症状が見られる場合、歯周病が進行している可能性があります。
④鏡で歯と歯ぐきの境目を観察する
歯周病が進むと、歯ぐきが下がって歯が長く見える、歯の間にすき間ができている、といった見た目の変化が起きます。
⑤口臭チェッカーを使う
市販の簡易口臭チェッカーを使えば、ニオイの強さを数値化して確認することができます。あくまでも目安ではありますが、自覚のきっかけとして活用できるでしょう。
これらのチェックで「気になる」と感じた場合は、放置せず歯医者での診断を受けることが重要です。歯周病による口臭は、進行すればするほど改善に時間がかかるため、早期対応がカギとなります。
3. 歯周病が原因の口臭の治し方
歯周病による口臭を改善するには、歯医者での専門的な治療と家庭でのセルフケアの両立が重要です。ここでは、一般的な治療の流れと内容について整理して解説します。
①歯周ポケットの検査
初診では、専用の器具を用いて歯と歯ぐきの間の「歯周ポケット」の深さを測定します。ポケットが深いほど歯周病が進行していると判断され、治療の方針が決まります。
②スケーリング(歯石除去)
歯周病の初期段階では、スケーラーという器具を使って歯の表面や歯ぐきの周辺に付着した歯石やプラーク(細菌の塊)を取り除きます。これによって細菌の繁殖を抑えることができ、ニオイの改善にもつながります。
③ルートプレーニング(歯根の清掃)
歯周ポケットが深くなっている場合には、歯根の表面にこびりついた汚れや細菌も丁寧に取り除く必要があります。これをルートプレーニングと呼び、歯の根の表面をなめらかに整えることで、再び細菌が付着しにくくなるとされています。
④歯ぐきの状態に応じた治療(歯周外科処置)
進行した歯周病では、スケーリングやルートプレーニングだけでは対応できないことがあります。そのような場合には、歯周外科処置が検討されることもあります。歯ぐきを切開してより奥深くにある歯石や感染組織を除去することで、歯周病による口臭の改善が期待できます。
⑤定期的なメンテナンスと再評価
治療後も継続的なケアが欠かせません。歯医者でのメンテナンスを定期的に受けることで、歯ぐきの状態を維持し、口臭の再発を防ぎます。口臭のチェックや歯磨き指導なども行われ、口腔内の環境が良好に保つことができるでしょう。
⑥生活習慣の見直し
歯科での治療に加えて、喫煙、偏った食生活、口呼吸などの習慣を見直すことも重要です。とくに喫煙は歯周病の進行を早めるだけでなく、治療効果を下げる要因にもなります。
歯周病は「治す」ことがゴールではなく、「再発させないこと」がとても大切です。口臭の改善を実感するには、歯科での治療と家庭でのケアの両立が必要です。
4. 名古屋市名東区 星ヶ丘の歯医者 成瀬歯科医院の歯周病治療
名古屋市名東区、星ヶ丘の歯医者 成瀬歯科医院では、三代にわたって地域密着の診療を行い、患者さん一人ひとりに寄り添う治療を心がけています。中でも歯周病治療とその予防は、お口の健康を守るための重要な柱です。歯ぐきの腫れや出血、歯のグラつき、口臭などは歯周病のサインかもしれません。
成瀬歯科医院では初期段階の歯肉炎から重度歯周炎まで、症状に応じてスケーリング・ルートプレーニング、外科処置、歯周組織再生治療(リグロス)など専門的な治療を行います。
▼成瀬歯科医院の歯周治療詳細
歯周病は未然に防ぐ「予防」も大切です。歯科衛生士による定期的なクリーニング(P.M.T.C)、ブラッシング指導により歯周病になりにくいお口を目指します。
▼成瀬歯科医院の予防歯科
2018年に全国2,345の歯科医院で行われた全国抜歯原因調査結果(https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-04-002)によると、歯周病は歯を失う原因の第一位です。
歯を失わないために、そしてずっと健康な口内環境を保つために、定期的なチェックとケアが必要です。
まとめ
歯周病が原因となる口臭は、「腐ったようなニオイ」や「血なまぐさいニオイ」といった特徴を持ち、慢性的に続くことが多くあります。セルフチェックではフロスや舌の状態、歯ぐきの変化などを確認できますが、気になる症状があれば早めに歯医者での検査と治療を受けることが大切です。歯ぐきのケアや歯石除去などで、口腔状態の改善を目指します。
名古屋市名東区、星ヶ丘周辺で歯周病や口臭でお悩みの方は、成瀬歯科医院までお問い合わせください。
監修:成瀬歯科医院
院長 成瀬晋一
経歴
1997年東海高校卒業
2005年東京歯科大学卒業
2009年東京歯科大学大学院にて学位取得(臨床検査学研究室)
2018年愛知県歯科医師会認定 臨床スポーツ歯科医取得
2019年日本食育士協会 歯科食育士取得
2022年日本スポーツ協会 公認 スポーツデンティスト取得
2024年愛知県歯科医師会認定 臨床睡眠歯科医取得
愛知県歯科医師会認定 臨床口腔がん検診医取得
愛知県 肝炎医療コーディネーター取得
所属学会
日本外傷歯学会
日本スポーツ歯科医学会